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最近の投稿【日本農業新聞「視点」】3月13日付け [プレスリリース]

 かれこれ十五年ほど前になるだろうか。旧友でJA青年部仲間の加藤義松さんから「提案があるので聞いてくれないか」との電話があった。早速訪ねてみると「都市住民に野菜づくりのノウハウを提供するカルチャースクールのようなものをやって、授業料をもらうことで農業経営にするのはどうだろうか」というものであった。なるほど確かに練馬区内の市民農園は人気で、入園待ちの人も数多くいた。
 練馬区で運営する農園は主に二種類。休憩室など設備の整った「市民農園」と比較的簡単な設備の「区民農園」である。当時、市民農園は利用料が月額一二00円、区民農園は無料だったので、はたして経営として成りたつだけの収入が利用者からもらえるものだろうかという不安があった。そこで、「我々農家が自分の農地で行政にかわって農園を運営するので支援してくれないか」と練馬区に相談を持ちかけた。当時の農園運営担当だった吉村理さんは我々の提案を好意的に受け止め、「おもしろいアイデアだが、いくつか課題があるので勉強会を開いて検討していこう」ということになった。
 吉村さんによると、市民農園の開設は自治体か農協に限られているし、農地の税制問題も伴っているということだった。運営のノウハウについても、共同作業がいいのか個人ごとにするのか、広さや入園料はいくらにするのか、区の助成は・・等々次から次へと課題がでてきた。ひとつひとつ課題を乗り越え、加藤さんの「緑と農の体験塾」が九六年に開園するまで四年の歳月を要した。以後、毎年一園ずつ開園しこの春十二園目が開園する。区は「練馬区新長期計画」で二0一一年までに合計十六園とする予定だ。
 体験農園の特徴は、種も肥料も野菜づくりに必要なものはすべて農家が用意する、未経験者でもわかる丁寧な指導、年間作付けが二0種類以上の多品種栽培と農家並みの収穫量。思わぬ副産物は、交流会や収穫祭の開催を通して、地域の人たちが集うコミュニティーの役割も果たす結果になったことだ。農業経営では、肉体的労力の軽減、安定収入、農業のやり甲斐がうまれ、地域の農業理解にもつながる。
 加藤さんの発案から始まった農業体験農園はやがて「練馬方式」と呼ばれるようになり、行政や多くの人たちを巻き込み、私たちが想像していた以上の速度で広がっていった。二00六年八月現在、都内では三十九カ所に拡大し約二五00区画が運営。埼玉県や千葉県にも拡大しつつある。農林水産省も支援に乗り出し、来年度から本腰をいれ拡大していく手はずだ。
 これらの取り組みが評価され、今年度の「第四回オーライ!ニッポン大賞」に輝いた。明日十四日オーライニッポン全国大会で表彰される。都市農業に、またひとつ春の花がひらいた。


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